直交表の性質を学ぶ

実験計画法では直交表を使って、少ない水準で網羅的な結果を得ることを目的としている。

手順通りやれば結果は得られるのだが、そもそも直交表ってなんで直交してないといけないんだっけ、ということが気になったので調べてみた。

説明には一番シンプルなL4直交表で使用する

f:id:Chemstat:20210306225123j:plain

 

まず直交表の重要な性質として

「任意の二列を取り出したとき、因子のすべての組み合わせが同数出現する」

というものがある。

f:id:Chemstat:20210306212005j:plain

 

この性質により、因子の水準間比較が容易になる。水準ごとに行の合計を取ると、他の因子の影響が等しくなり、見たい因子の影響だけを評価することが出来る。

f:id:Chemstat:20210306225226j:plain

これにより、少ない実験数で各成分の効果を精度よく把握することが出来る。

 

また、もう一つの重要な特徴として、「直交であれば分散分析ができる」という点がある。例えばL4で下図左のような結果が得られたする。これを解析すると右のような要素に分解できる。

f:id:Chemstat:20210307090636j:plain

 平均ベクトル\boldsymbol{\mu}と各因子の効果を示すベクトル\boldsymbol{A,B,C}を使って\boldsymbol{Y=\mu+A+B+C}という行列で表される。この時\boldsymbol{\mu}\boldsymbol{A,B,C}に対し直交している。

 

直交であれば以下の式変形が成立する。

f:id:Chemstat:20210307172353j:plain

この変動を各要因に分解するの操作は分散分析そのもので、各因子の影響を定量的に比較することが出来る。

いずれは実験計画法を自力でやる記事も上げたいと思う。

参考

Rで実験計画法 後編

実験計画法入門 Part 2