製品を作る上で製造安定性の改善は永遠の課題である。ひとたび製品化が決まれば、原料の管理や製造プロセスの改良を繰り返し、安定的に製造する方法の模索が始まる。
一方で、いくら安定的に製造していたとしても、それを評価する手法のばらつきが大きいと、製品のばらつきを適切に評価できない。
製品自体のばらつきと評価系のばらつきを分離し、評価系の精度が十分かを議論する方法としてGR&R(Gauge Repeatability & Reproducibiilty)というものがある。今回の記事ではGR&Rの概略を説明したいと思う。
GR&Rを実際に実施する際は、下図のようなデータを取得する。
①異なる製品ロットを
②異なる測定者で
③繰り返し測定
することによって、下図のような3つのばらつきの成分に分離する
PV (Part Variation):製品ロットのばらつき。
EV (Equipment Variation):測定装置によるばらつき
AV (Apparaiser Variation):測定者の違いによるばらつき
分散には加法性があるので総分散TV (Total Variance)と下記のような関係になる。
ちなみに測定装置や測定者のばらつきとなっているが、実際にはばらつきそうな要素を割り当てることも出来る。この辺は次の実験計画の記事で紹介する。
そして、下記の%GRRという指標を使って測定手法のばらつきを評価する。
ここで注意が必要なのは、GR&Rの計算は分散そのもののではなく、標準偏差で行っているという事である。
標準偏差には加法性がないので、%PV+%EV+%AVが100%にならず若干気持ち悪い。
大体の目安として
<10%:OK
10%~30%:場合によっては許容
>30%:NG
と言われることが多い。実際にはこれは分野によっても変わるので、似たような事例での適用例などを踏まえて判断する必要がある。
ちなみに%GRR=10%と30%の時のばらつきはこんな感じになる。
次回は平均値-範囲法とANOVA法について説明したいと思う。
参考