直交表の性質を学ぶ②:交互作用編

実験計画法で使う直交表。交互作用の考え方ってどうなってたっけと思ったのでまとめることにした。

改めて交互作用とは「二つの因子が組み合わさったときに追加で出現する効果」である。ある成分をA→Bに変えた時、もう一方の成分がaかbかで異なる効果が現れる。

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直交表を使った実験計画法でも、水準の組み合わせ次第で交互作用が発生しうる。この時水準の割り当て方によって交互作用の影響を受けてけ結果が変わってしまうことがある。

直交表のどの列に交互作用が出てくるかは決まっていて、下記L8の直交表の場合1列目と2列目の要素間に交互作用があると3列目にその影響が出てくる。

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なぜこうなるのか。

この場合、AとBの要素の組み合わせはA1×B1、A1×B2、A2×B1、A2×B2の4パターンある。各組合せについて二個水準があるのだが、3列目をみると、A1×B2に対してC1、A1×B2に対してはC2と割り当てられてしまっている。

例えば、A1とB1の組み合わせのに交互作用があるとC1に影響が出てしまう。

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一方で4列目に割り当てた場合、どのAとBの組み合わせにも、C1とC2がひとつづつ割り当てられていて交互作用があっても、その寄与は分散されるの為、影響を受けなくなる。

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何を言っているかよくわからないと思うので、実際の例で示してみたい。

まず、下記のようなA、B、C、A×Bの交互作用の効果を持った水準を考える。

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これを直交表に割り付けるのだが、A、Bを1、2列目に割り当て、Cを3列目の組み合わせに従って割り当てる。

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そしてそこから結果を解析してそれぞれの効果を算出してみると以下のようになる。

解析方法についてはそのうちまとめるつもりなのでお待ちいただきたい。

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この操作を、Cの割り当てを3~7列目のそれぞれに変えて繰り返して結果を比較してみよう。

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結果を表にまとめるとこんな感じ。

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AやBは5種類すべてで同じ値だが、Cを見てみると3列目に割り当てた時だけ、値が異なっていることが分かる。

3列目はA×Bの交互作用の影響が出てしまうといったが、この場合だとA1×B1の効果がC1に上乗せされてしまっているのだ。

交互作用が予想される場合は、割り当て方に注意が必要というのはこういう理由だ。

 

ちなみに交互作用は4種あるのに、割り当てる水準は2種しかないので、どの組み合わせの交互作用が効いているかは分からない。分散分析でわかるのは「AとBのどれかに交互作用があるので注意してね」というところまでである。

(であってますよね?)