これまでいくつかの記事で実験計画法を紹介してきた。
「あらゆる実験条件のすべての組み合わせを評価するのは大変だから、実験計画法で効率的に!」というのが売り文句なのだが、こと開発系に関しては、
複数の要素を変えて実験したいと思ったら、まずはすべての組み合わせをやってみることをおすすめする。
私の経験的には2点だと確証が持ちづらい場合が多いので、まずは
「2条件3点ずつ、3×3のマトリックスで評価する」
をお勧めしたい。
例えばこんな感じの実験結果が得られたとすると、以下のようなグラフで整理することができる。
これを見れば以下の傾向が見えると思う。
・樹脂A、B、Cの順で欠陥の個数が減っている。
・高温条件では欠陥の数が増えている。
もしこれが下記みたいなデータが得られていたとしたらどうだろう?
温度依存性は樹脂によって変わる?
樹脂AよりはCの方がよさそうだが、Bはどうなんだろう?
という疑問がわいてくる。
今回のは極端な例というわけではなく、実際に実験をしている人なら似たような場面に遭遇したことは多いのではないかと思う。実験計画法ではデータ点数を間引く都合で、誤差や交互作用の影響で線形性が崩れると、解析が難しくなる場合が多々ある。
直交表を使った実験計画法なんかはあくまでも実験数を減らしたいときの代替手段であって、全て実験できるならそれに越したことはない。
マトリックスでデータを取って定性的な傾向が確認できれば、どの領域を重点的に検討するか、という決断が出来るので結果省力化出来る事もある。
・実験誤差が大きい
・交互作用が大きい(条件の組み合わせによって値が大きく変わる)
・線形性が成り立つ条件か分からない
といったときは、条件数を減らしてマトリックスで完全実施の実験をする方が結局近道なことが多い。