相田卓三先生の最終講義に感銘を受けた

何週間か前に、ケムステで相田卓三先生の最終講義が配信されるというアナウンスがあり、思わず登録していた。予定が入って当日ギリギリまで都合が合うか分からなかったのだけれど、なんとか時間ができて見ることが出来た。

約2時間の講演だったけど、気がついたら最後のあいさつになっていて、いかに自分がのめりこんで聞いていたかその時に気づいたほど。

今まで統計手法の解説ばかり、個人的な内容はほとんど記事にしてこなかったけれど、とてつもなく感銘を受けたのでこれを機にこんな内容も書いていこうと決めた。

 

www.chem-station.com

 

ちなみに、相田先生と直接の面識があるわけではなく、論文や学会の発表を見て勝手にファンになっただけ。そして最終講義を聞きながら何に惹かれてたかと考えてみたところ、研究の幅の広さもさることながら、新しい発見を手に取れる材料として形にしているところが一番の理由ではないかと思った。分析データだけでなく目に見える材料として形になっているのは、それが使われる未来を示されているようで、相田先生の研究から夢を感じるからこそ憧れていたのかなと思う。

 

ちなみにこれは相田先生の研究の一つ、アクアマテリアル。

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講演は今までされてきた研究の数々を色々なエピソードを交えて語られたのだが、一人の研究者が行う研究の幅としては圧倒されるばかりだし、登場人物が皆スター研究者ばかりなことも凄まじい。

でも、それよりも印象に残ったのは、時折語られる研究哲学だった。はたから見たら十分な成果なはずなのに、もっと面白い展開があるはずだ、ここで論文化すべきではない、と中途半端なところで妥協しない姿勢は、これこそ一流研究者に必要なものなのだろうと思わされた。

 

「誰にでも楽しい研究室ではなかったと思う」とおっしゃっていたのは、やはりハードワークをしていた人が多数いたという意味なのかなと思う。それでも、切磋琢磨しあう環境があったからこそ化学の面白さにのめりこむ人も多数いたはずで、相田研から輩出された人材の豊かさもそれを表している。

ワークライフバランスが叫ばれる昨今だけど、人よりも飛びぬけて優れた成果を出している人は、何倍も考えて、何倍も努力して、そのすべてを糧にしているからこそ見えている世界があるのだと思う。

 

二時間の講演で、圧倒的に高い視座で研究をされてきたを相田先生の姿勢を見せつけられた気持ちで、また明日から頑張ろうと前向きな研究にさせられる講演だった。相田先生のこれからの研究を楽しみにしているファンの感想でした。